CQ無線室 修理備忘録より修理情報抜粋し、要約記載します

備忘録的記載のCQ無線室修理記録。自身にとっては便利なメモ帳ですが、初めての方には極めて見にくいと思います。本項に概要を記載します。参考になれば幸いです。

(詳細情報が必要でしたらCQ無線室を覗いて下さい)

■夏場は修理のオフシーズン(コテが暑い。部品が扇風機で飛散する)

>ご注意!<

私は素人修理人です。症状が類似していても原因が同じとは限りません。記載内容が貴方の無線機に適用出来るのか、最終判断はご自身で!!。

・注意を払っておりますが記載内容に誤りも有ると思います。予めご容赦下さい。

・サービスマニュアル、測定器、道具類を準備願います。無いと修理は行えません。

◆ TS700S ◆ (修理 3台)交換部品代Tr 数十個 約800円 麦球 数個 約100円

TS700S修理で遭遇した故障と原因です。類似機種にも適用出来そうです。

 

<傾向と対策>

トランジスタ(以下Tr)2SC458 2SC460は無条件交換が望ましいのですが部品が無ければ悪い所のみ交換する手も有ります。私は、IF UNITのTr動作確認(Tr E-B動作電圧チェック又は基盤から外しhfe測定)から始めます。次にRX NB UNIT,GEN UNITあたりをチェックします。

尚、この時代のTRIO FMトランシーバー全般に応用出来ますがIF UNIT / IF AMPの Tr数個は2SC460Bが使われている場所に2SC1815Y又はGRが使えると思います。IF AMPがどれかは無線機取説のブロックダイヤグラム図で確認します。

(TS700S英語版では、Q4~Q7がIF AMPに該当すると思われます)

 

・FM受信不良(スケルチが効かない):IF UNITの Tr 2SC458 2SC460不良

・送信出力不足:HET UNIT T2 T6同調不良 他 ⇒ 調整(メーカーマニュアル参照)

・受信感度変動:IF UNITの WIDEーNARROWスイッチング Tr Q4のハンダ不良

・Sメーター誤動作:RX NB UNITのSメーターアンプ Trのハンダ不良 (他,可変抵抗劣化)

・CW,AM 出力不足:CAR VOX UNIT TC3周波数ズレ ⇒ 調整(マニュアル参照)

・周波数カウンター非表示①:HET UNIT Q8周囲部品の不良⇒部品交換又は応急処置でカウンター基板のR41抵抗を切断

・周波数カウンター非表示②:VFOの発振不良⇒VFO内部部品の接触不良補修

 VFO修理事例はネット検索で多数探せます。

VFOユニット側面の、のぞき窓から、VFO回転軸と弓状板金の接触部や弓状板金先端とVFOシャーシの接触部に少量の導電性グリス(ナガラ電子工業 テナメイト)を塗布

(グリス塗布後、VFO安定度が劇的に改善。この時代のVFOには最適と思われます。)

・スイッチやボリュームの接触不良 ⇒ CRC5-56を部品内部の接触部に噴霧し数十回動かす

・メーター照明電球切れ ⇒ 12V麦球(リード付きで50円/個 位 マルツパーツ等で入手可)又は抵抗付加したLEDに換装

 

◆ TR9000シリーズ ◆(修理2台  点検調整2台)

<傾向と対策>TS700Sの項を参照。 劣化した角形2SC460Bは交換。

 

 ●TR9000

・FM受信不良(スケルチが効かない):IF UNITの Tr 2SC460B不良。スケルチ不良は IF AMP Q14~Q17交換(Q14~Q17のみ、代替品は2SC1815Y又はGRでも可)

・送信出力不足:ALC可変抵抗VR5の接触不良 ⇒ 調整又は交換

・SSBのみ送信出来ない:ダイオードD40ハンダ不良 ⇒ 再ハンダ

・送受信不能(周波数ズレ):劣化した2SC460Bは交換。 ⇒ メーカーマニュアル参照し送受信調整実施

・スイッチやボリュームの接触不良:CRC5-56を部品内部の接触部に噴霧し数十回動かす

・送信不能:コネクタの接触不良と推測(解決したが原因特定出来ず)

 

◆ TS820 ◆(修理1台  点検調整1台)交換部品代Tr 数十個 約400円  麦球 数個 約100円

■真空管式トランシーバは内部に高電圧部分(通電時のトランスやコンデンサ端子、電源断時のコンデンサ端子など)が有り、危険なので素人修理は、お勧めしません

<傾向と対策>

トランジスタ(以下Tr)2SC460Bは無条件交換が望ましいのですが部品が無ければ悪い所のみ交換も可。私は、IF UNITのTr動作確認(Tr E-B動作電圧チェック又は基盤から外しhfe測定)から始めました。2SC733(代替品は2SC1815Y又はGR)も劣化が進んでいると思いますが不良率は2SC460Bより遥かに少ない様です。各TrをIF UNITより取外しhfe確認します。

他、コネクタやスイッチの接触不良、基板部品のハンダ不良が有ると思われます。

 

・送信不能:IF UNITの2SC460B交換 ⇒ 動作確認。 他、真空管の劣化。AF AVR UNIT コネクタ接触不良など

・送受信不能&周波数カウンター非表示:PLLロック外れ / VCO UNITと PD UNITの2SC460B点検、交換 。特定周波数がロック外れの場合はTrだけでなく、関連回路部品のハンダ不良も疑う。VCO UNIT コネクタ接触不良チェック。 

・スピーカーから音が出ない:背面パネル外部スピーカー接続コネクタ内部の接触不良

・時々Sメーターが振り切れ送受不能:無線機内部、どこかのコネクタ接触不良 ⇒ 着脱可能な総てのコネクタを抜き差しし解決したが、新たな誤動作を招く危険有り。

・VFO回すと周波数表示が消える又は点滅する:VFO UNIT 2SC460B不良は交換。VFO内部、アース板金の緑錆接触不良なのでVFOユニットを無線機より取外し、点検清掃。 ⇒ CRC5-56(又は導電グリス)を接触部に少量給油し、ぐるぐる回す(バリコン部分にCRC5-56が掛からない事)

・Sメータ動作不良:IF UNIT Sメーターアンプ用Trの不良 ⇒ 再ハンダ又は交換

◆ TM201 401シリーズ ◆(修理2台  点検調整4台)

<傾向と対策>計6台の点検、修理を実施しましたが致命的トラブルには遭遇していません。若干の不具合なら点検調整のみで復活する可能性 大 です。

25W機は電源ケーブルの通電電流が大きいので電源端子の接触不良による発熱、パワー低下に注意。

 

 ●TM201

・受信中、気づいたら送受信不能:本体内部のコネクタ接触不良 ⇒ 無線機内部のコネクタを総て着脱し解決したが、原因特定出来ず

・電源入らず:バックアップ電池不良による動作不良 ⇒ 本機の不良電池は交換が必須。

・リセットしない:リセットスイッチ接触不良 ⇒ リセットスイッチ本体側面に有る小穴へCRC5-56少量噴霧し、数十回スイッチON-OFF繰り返す

 

●TM401D

・電源入らず:内部基板パターン焼損 ⇒ ジャンパー線接続し解決したが焼損原因特定出来ず

・スイッチ接触不良:無線機のスイッチ総てが重篤な接触不良 ⇒ スイッチ本体の部品隙間(内部)へCRC5-56少量噴霧し、数十回スイッチON-OFF繰り返す

 

●TM211

・内部電解コンデンサ液漏:交換しようと手持ちの電解コンデンサ準備したが、外形寸法が大きく、基板上、交換対象コンデンサのスペースに収まらない!。電圧、容量だけでなくサイズの確認を。現状、性能に影響が無いので放置。

<備考>TM211は内部にバックアップ電池ケース付きです。電池交換が簡単に行えます。

 

◆TR7500GR (修理1台 Tr部品代400円 )         ◆TR7700 (点検調整1台 部分修理1台 )

<傾向と対策>劣化した2SC460Bは交換。TR7500GRは修理情報が少なくサービスマニュアルは探せませんでした。修理情報を開示している方のHPを参照。

TR7500にも適用出来るものが有ると思われます。

 

 ●TR7500GR

・受信不良(スケルチが効かない): Tr 2SC460B不良。スケルチ不良は IF AMP Q6~Q10交換(Q6~Q10のみ代替品は2SC1815Y又はGRでも可と思われる)

・送信出力不足:Tr 2SC2538の劣化 ⇒ 代替品 2SC2407 に交換

 

●TR7700 1台目 (英語版マニュアルの型式:TR7730)

・受信不良(スケルチが効かない): Tr 2SC460B不良。

・送受不能:PLLロック外れの場合 ⇒ PLL UNIT調整又は劣化部品交換

●TR7700 2台目 

・スケルチの効きが悪い: スケルチ不良は IF AMP の2SC460B不良。Q7~Q10交換(Q7~Q10のみ代替品は2SC1815Y又はGRでも可)して修理済。

 

◆ TS780 ◆(修理1台  点検調整2台)

<傾向と対策>

旧タイプの角形トランジスタ(以下Tr)2SC460Bが使用されている場合は無条件交換が望ましいのですが部品が無ければ、悪い所のみ交換も可

バックアップ電池(単三x3)の液漏れに注意。

 

・受信不良:

①430MHz 144MHzどちらかのバンドのみ感度が悪ければRF UNITのFET等を点検

②430MHz 144MHzどちらのバンドも感度が悪ければ IF UNITの点検。

③PLL UNITからの出力不足:PLL調整又は不良部品交換

・144MHz送信出力不足:430TX UNIT出力調整用可変抵抗の接触不良と思われる。出力HI-LOW 切替スイッチ LOW 調整用可変抵抗VR4の制限解除で10W以上出た。

・周波数ズレ:IF UNIT TC3 (TP1周波数測定)再調整

・他、動作不良:タンタルコンデンサの絶縁破壊不良(焼損の恐れ有) ⇒ 周辺部品も破壊されている可能性が有るので点検必要

・周波数が変わらない:VFOエンコーダー又はセンサー用発光部3箇所の不良(光っていない)。⇒ 調整ズレは可変抵抗調整。発光部が光っていない場合は発光体の不良確認又は関連抵抗の抵抗値確認

◆ TS940S (Tr等部品代約1000円 ) ◆(電源部のみ修理 1台 )

<電源部限定 傾向と対策>

パワーTr Q101 Q102 2N5885は正常に動作していても既に30年が経過。トラブル防止の為、交換を推奨。

代替品2SD114を店舗より購入すると高価ですが、2015年5月現在、ヤフオクで安価調達出来ます。私は2台分4個を1200円+郵便定形外送料にて入手しました。

・上記パワーTrが故障している場合、AVR UNITの部品も破壊されている可能性が有り、交換する必要が有るかも知れません。

・受信のみ動けば良いなら、パワーTr 1個でも無線機本体は動作します。2個の内、故障した2N5885の端子配線E,B 2箇所をニッパーで切り離し、残る正常2N5885 1個でAVR UNITの修理を進めることは可能。

(但し、2N5885 1個で長時間受信動作確認した訳では無いので、お薦めはしません。)

 

■TS940本体 通電不能 

①ACコード、本体内蔵フューズ、内蔵トランス出力、整流ダイオードD101等に正常電圧が掛かっているかテスターで確認。(AC100V部分は感電注意!)

②パワーTr Q101 Q102 2N5885の良否確認

・各Trのエミッタやベースと無線機フレーム間電圧をテスターで測定し、いずれかが、もし40V以上なら、Tr故障。

・テスターでTr Q101 Q102の各端子間の導通有無を確認 (無線機電源はOFFでOK)

 

※注意:上記ケースは故障パターンの1例です。Tr各端子B,Eの電圧が0Vの故障も有り得ます。ただ、本来30Vが出力又は印加されるTrの各端子B,Eに40V以上の電圧が発生すると結果的にAVR UNITの一部が焼損する事になります。

(Trの良否判定手法はネット検索し予め習得願います)

 

私の無線機はQ102 C-B間に導通有りNGでした。

<備考>NPN Tr 2N5885の、C-B間は導通無しが正常

⇒故障2N5885を代替品に交換する。※2SD114のピン配置は2N5885と共通です。

 

③代替Tr交換後、AVR UNIT配線を接続し、AVR UNIT各部品の端子電圧を測定します。

Q101 Q102 E,Bから40V以上の電圧がAVR UNITに掛かった場合は回路図のQ101 Q102 と2SB861の間に繋がった抵抗やダイオードが焼損する様です。

・不良判定はテスターで各部品の端子電圧を確認するか基盤から取外し、良品と比較します。(取り外す方が不良が分かり易い) ⇒ 不良品は交換。

・電源用ヒートシンクに固定されたトランジスタ3本(ネジ固定&コネクタ接続)の発熱が、かなり大きいので正常動作していても出来れば取り外し、シリコングリスの塗り替えを推奨。


<その他>

・AVR UNITなど電解コンデンサの残留エネルギーによる端子とフレーム板金のショートに注意。

・IF UNIT ,  RF UNIT のFET 2SK125を各基板より取外し逆向きに基板にハンダ付け⇒受信Sメータ振れ改善します/他者ブログで情報多数の為、詳細省略。

・電源用ヒートシンクに設置される冷却ファンの動作と風量確認も必要。

 (シンク表面が設定温度以上の時、ファンが回転する)